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¡ vamos a bailar la chacarera !


 “チャカレーラのページ”群は、2001年3月にスタートしました。
 1989年、アルゼンチン音楽とチャカレーラを通して瀬賀倫夫氏(故)と交流を深め、「サンティアーゴ新聞を作ろう!」「でも読者は3、4名くらいかなあ」「お茶とカレーの新聞だと思われたりして……」などと語り合っていたころは、日本のチャカレーラ愛好者は極少、演奏はロス・デル・セキヤとフーマ、踊りはダンサ・エレンシア他、ほんのわずかでした。情報ツールはパソコンではなくワープロとファックスの時代、肝心の音源はアナログ盤とカセットテープ。ビデオは普及の途でした。
 しかしその後わずかな間のパソコンとネットの急速な進化が、このページの開設を決意させました。急速な進化は以後も止まらず、2000年代初めには検索をしてもわずかしか存在しなかったフォルクローレ舞踊関連の情報(アルゼンチン発の、です)は、今や膨大なものとなりました。2006年にアニメを作ったころは予想していませんでしたが、北西部はじめ各地の踊りの動画も激増で、愛好者としては大喜び、日本人発信者としては(身の程知らずながら)本場パワーに嫉妬?降参……でした。
 チャカレーラ愛好者は日本では踊りに特化して急増しているようです。でも意外だったのは、大半がボリビアとアルゼンチン・タンゴのレッスンに付随して踊られるチャカレーラらしいことでした。長い間日本での愛好者が増えてくれることを願って作ってきたページですから、増加は喜ばしいのですが……。
 そろそろ役目を終えたかとも考えましたが、Santiago Ayala "El Chucaro"、Juan Carlos Gramajo の映像、文献では Hnos.Abalos の解説の他、わずかなものも含め様々な情報を手がかりに、独自の方法(と念力?)で作り上げた本場アルゼンチンのチャカレーラ・日本版メソッドですので、まだまだ意義がありそうです。アルゼンチンのページの中に、明らかに私が描いたチャートやデータを参考にされているようなものを見つけて、密かに喜んだりもしています。当分はこのまま掲載を続けますので、ご覧いただけたらうれしく思います。
小林隆雄(2014.9.1/2001.3)





< takao kobayashi 2001.3~ >


チャカレーラはむずかしいのか?

 日本にフォルクローレのブームが起こったのは1970年代半ばごろ。それはケーナを中心にしたアンデス音楽のブームでしたが、音楽ソースはアルゼンチン原盤が圧倒的に多く、当然サンバやガート、チャカレーラという舞曲のリズムも、たくさん聴くことができました。
 そのころチャカレーラは、「むずかしいリズム」とされていました。たしかにドミンゴ・クーラのパーカッションが紡ぎ出す複雑なシンコペーションは、真似をするには難解でした。当時邦盤で紹介されていた多くは(特にアンデス系では)チャカレーラのうちでも”トゥルンカ“や“モチャ”と呼ばれるスタイルでしたから、余計むずかしかったのですが、スリリングな器楽演奏には向いていたのでしょう。
 しかし、多くのアルゼンチン盤(輸入盤)、とりわけ私の好きな「ロス・カラバハル」や「マンセーロス・サンティアゲーニョス」には、チャカレーラばかりなのに、トゥルンカのスタイルはそんなに多くは収録されていませんでした。ですから、チャカレーラの大半が意外にシンプルなものであることには気付いていたのですが、そのシンプルさゆえ、「チャカレーラは繰り返しの多い楽曲だな…ガートとチャカレーラが違っているのは分かるが、どう違うのかなあ」と、少し悩んでいました。もっとも当時はサンバが好きだったので、悩みはそれほど深刻ではありませんでしたが……。

目からウロコが落ちた日

 1980年代半ば、友人が勧めるアルゼンチンのビデオで、チャカレーラの踊りを繰り返し見ていたとき、思わず目からウロコが(後出の瀬賀氏風に言えば『目から瓦がガラガラと』)落ちました。チャカレーラが「見えて」きたのです。するとひとりでに、ガートが、エスコンディードが理解できるようになりました。なーんだ、あの小節の繰り返しは、踊りの動作の繰り返しを意味していたのか。
 そのときから、私の中のチャカレーラが変わりました。チャカレーラ・ドブレやトゥルンカの意味が分かると、さらに面白くなり、サンティアーゴ音楽への傾倒は日増しに強くなりました。演奏をするときも、私のイメージの中ではガウチョ姿の男女がクルクルと踊っています。やがてレコードがCDに変わり、ドスドスと不器用なサパテオを踏んでも「針飛び」を起こさなくなったので、勝手気ままに踊る頻度は急速に増しました。おかげでむずかしいサンバも、なんとか踊れるようになりました。

もともとお節介なのだから、みんなも踊らせてしまおうか

 2001年、親しいフォルクローレ・グループが参集した交流会で、「5分で踊れるチャカレーラ」という企画を仕掛けてみました。実際は、私の講釈が長くて、この企画だけで30分も使ってしまったのですが、皆さん、楽しそうに踊ってくださいました。曲は「ノックせずに入っておいで=ENTRE A MI PAGO SIN GOLPEAR」という、P.R.トゥルジェンケとカルロス・カラバハル作の名曲です。
 私がお節介をしたのは、皆さんは演奏愛好家なのだから、踊りの雰囲気が分かれば、小節の繰り返しの回数や意味、なぜパルマ(手拍子)や掛け声が入るのかなどを実感していただけて、きっと今後の演奏練習の一助になるだろうと考えたからでした。クエカやバイレシートでなく、チャカレーラだったのは、体に染み付いていた(と自分では思っている)からです。
 そのときに、チャカレーラのフォーメーションのメモが引き出しに眠っていたことを思い出しました。それならついでにこれも公開してみようと考えました。ずいぶん前に Yoko が参考図として某社に提供した絵と、友人のために描いた鉛筆画のラフ・スケッチです。

追加:2006年、チャカレーラのアニメ作成に合わせて、フォーメーションとステップのチャートを作ってみました。

 ところで……1999年に来日公演を行った、ノルマ・ビオラ率いる「アルゼンチン国立舞踊団」(元々は”エル・チュカロ” サンティアーゴ・アジャラ舞踊団)の、華麗ながら野趣溢れるダンサをご覧になった方もいらっしゃるでしょう。あるいは、ダンサ・エレンシアの躍動感ある舞台を体験された方も多いと思います。
 舞台芸術としてのダンサは、私には望むべくもありませんし、また人にも勧めません。自分では人前で踊ろうと思っていませんから、私が愛好家の仲間にお勧めするのは、前述のように、まずダンサの雰囲気を感じることです。仲間うちの演奏練習の際に踊るのも楽しいでしょう。踊りと演奏のイメージがピタリと合うとき、舞曲系の音楽の楽しみは最高になります。私はほとんどその楽しみだけのために、ドタドタと踊っています。
 アンデス音楽のファンが多い日本では、クエカやバイレシートを研究されると、楽しいと思います。カップルで踊るものの多くは”求愛”がテーマで、ドラマの基本的な組み立ては、アルゼンチンもボリビアもほとんど同じですから、図を参考にしていただけたらうれしいです。
 ところで、サンティアーゴ音楽の分野では、音楽研究家の瀬賀倫夫氏、エパ!(アルゼンチン民族舞踊研究家の長野太郎・塚田美紀夫妻)、ダンサ・エレンシアが著名です。



・・・・・・・・・・・・・チャカレーラの踊り方(1)・・・・・・・・・・・・・




これで primera はおわり。 segunda に進みます。男女の位置が入れ替わっていますが、踊り方は同じです。
(ファイル・サイズの関係上、animeも"primera"だけにしました。)





・・・・・・・・・・・・・チャカレーラの踊り方(2)・・・・・・・・・・・・・

【 チャカレーラ・ドブレを加えて、2006.1.20 追加 】

上の図にチャカレーラ・ドブレ (doble) を描きくわえようと以前から考えていたのですが、次のようなチャートを作ってみました。グレーの箇所がドブレで加えられる動作です。(四苦八苦しながらの作図、takaoちょっぴり自慢?です)

イントロ
: intro.... 8
小節
(または6小節)
向かい合って手拍子
= palma を打ちます。

¡ adentro !
( doble の場合加える)


小節の数
chacarera...8
chacarera doble...12
間奏...8 小節
(または6小節)で

元の位置にもどる。
chacarera...8
chacarera doble...12
間奏...8 小節
(または6小節)で
元の位置にもどる。
chacarera...8
chacarera doble...12
chacarera...8
chacarera doble...12
これで primera が終わりです。 segunda も基本的に同じパターンを踊って終了します。




・・・・・・・・・・・・・チャカレーラの踊り方(3)・・・・・・・・・・・・・

チャカレーラの基本動作の練習
 

paso の基本動作は 6/8 の混合拍子を体で覚えるための初歩的な練習です。 gato , escondido などと共通のものですので、一度覚えてしまうと楽しみ方が広がります。だいたいできるようになったら、 paso …… 歩いてみます。

 座って混合拍子の練習をするには、指パッチンだけでやります。※手をかえて練習する。

<左手>  ①  --  ②  --  ③  --
<右手>  ①  -- --  ②  -- --
<拍数>  1  2  3  4  5  6

……なのですがいち  に・と  さん
 と右のように数えると楽です。これを無意識にできるまでやってみるのがコツです。
※アンデス音楽ファンの方なら、カルナバルやバイレシートで経験されているリズムのとり方と同じです。
 
zapateo の練習です。最初は 5 で両足をそろえ、 6 を省略する(休符にする)と、次の 1 が楽に出せます。
1 - 2 と 2 - 2 で「つま先立ち」するところ、そのときに上げた反対の足を次の 1 - 3 と 2 - 3 で、足のうら全体で「トン!」と床を打つところががミソです。
zarandeo の雰囲気は上の2種類の図と、アニメを参考にしていただければと思います。

2006.10補足---私の好きな踊り手は、だいたい右図の上段の拍で踊っているのですが、下段の拍も多いようです。かつてはこちらの方が主流だったかも……。バレー団の人たちはどちらも自在に踊り分けるので、できたら両方マスターすると楽しいです。



(……さらに続くマニアなお話)



● チャカレーラの定型のつもりで……


 「知っているフォーメーションと違う」「もっとクルクル回るはず……」などと思われた方もいらっしゃると思いますが、舞台の上で演じられるものは踊り手の方の独自のバリエーションが加えられ、チャカレーラは華やかにスピーディに、ますます進化しているようです。
 以前から、とりあえずこれだけ知っておけば自分で踊ることができる、いろいろな踊り方を見てもわかる、どこが基本的な動作でどこがバリエーションか区別できる……などなど、チャカレーラを楽しむための最低限のものをまとめてみたいと考えていました。各種ビデオ、アバロス兄弟の古いレコードの記述やクティとロベルト・カラバハルの記述を参考に、自分で踊りながらメモし、これならばわかりやすく楽しめるであろうチャートを描いたつもりです。
 この後は、洒落た身振りや華麗な回転、野趣に富んだサパテオ、ときには静止…などいろいろ個性的な振り付けを加えて、楽しいチャカレーラを踊ってください。

★いくつかのヒント

● チャカレーラ・ドブレが増えたわけ……


 チャカレーラは 8 小節をひとつのパターンにしているので、メロディの多彩なバリエーションにはおのずから制限があります。1980 年代半ばから急速な展開を見せたチャカレーラが「歌曲」としても充実していく過程で、ドブレの 12 小節が愛好されてきたのは当然の流れか、と思います。

● チャカレーラとガート、エスコンディードなどを聞き分ける方法

 チャカレーラのイントロはほとんど、V7-- I -- V7 -- I ...という和音から始まります。Am 調だったら、 E7 -- Am -- E7 -- Am / E7 -- Am -- E7 -- Am ( ¡ adentro ! ) となります。普通は 4 小節でフレーズのひと区切り× 2 回=8小節ですが、 2 小節区切りだったときは、× 3 回=6小節で、 ¡ adentro ! となります。間奏はイントロと同じなので、6小節だったときはvueltaが忙しくなりますから小さめに回ります。
 ガートやエスコンディードの場合はほぼ、I -- I -- V7 -- V7...つまり Am -- Am -- E7 -- E7 / Am -- Am -- E7 -- E7 - / Am ( ¡ adentro ! ) となります。このあと 4 小節の同じメロディが 3 回(a--a--a' の場合もある)繰り返されたらガート。4回だったらエスコンディード。……とりあえずこんな風に見分ければだいたい間違いありません。厳密に説明するとややこしく本筋からもそれてしまいそうですから、またそのうちに何か考えてみようと思います。

一応参考までに、パターンごとの小節の組み立てをかいておきます。(赤字が zapateo y zarandeo ; escondido の場合は zapateo y esconderse です。primera - segunda と、同じものを繰り返します。)
chacarera : (intro 8) --- 4 + 4 --- 8 --- 8 --- 8 --- 8 --- 4 + 4
chacarera doble : (intro 8) -- 4 + 4 + 4 -- 8 -- 8 + 4 -- 8 -- 8 + 4 -- 4 + 4 + 4
gato : (intro 8 + 1) --- < 4 + 4 > + 4 --- 8 --- 4 --- 8 --- 4
escondiso : (intro 8 + 1) -- < 4 + 4 + 4 + 4 > -- 4 + 4 -- 8 -- 4 + 4 -- 8 -- 4 + 4

 かえってわかりにくくしてしまったでしょうか? でも慣れてくると案外簡単にわかるようになります。
 これらのパターンは、zamba, bailecito, cueca, remedio...等々の舞曲系全般で、一部例外を除いてかたくなと言って良いほど守られています。“舞曲=踊り”だからです。それでも楽団から "¡ adentro ! , ¡ a la vuelta ! , ¡ zapateo ! , ¡ se acaba !" と始終かけ声がかかるのは、踊りに夢中で次の振りを忘れてしまう !? からだそうです。

● 1畳分でチャカレーラを踊る

 家が狭いから……、近所迷惑だからドスドスとサパテオを踏めない……、事情はわが家も同じ。でも1畳分 ( 180 cm x 90 cm ) の広さがあれば踊れます!
 まず vuelta , media vuelta は、円を描かずに直線的に交差します。 zapateo は、ネコ足で音を立てないように、膝と足首を柔軟に使って踏みます。これでも結構踊れるもんで、慣れてくると、一人踊りだったら座布団1枚でも(助六師匠の踊りのように…)可能です。
 しか~し! 私はこの方法が長すぎて、あるときボタス(ガウチョの長靴)をはいて踊ったら、リズムがグチャグチャになってしまいました。たまには硬い床で、靴音を立てて踊ってみないとね。

● “だれでも踊れる”チャカレーラ

 ---というものを2009年から実践しています。「まずステップを覚えなきゃ……」というセオリーを逆転、敷居を低くして初心者もとにかく体験。特に男性は、つい足さばきを気にして“麦踏み”状態になってしまうので、背筋を伸ばして腰から上、太ももから上に神経を集中。とりあえず上半身だけ格好よく踊ります。チャカレーラって楽しいな、と感じてもらえたら、あとの深入りはご自分次第。最初の段階で挫折することはほとんどないと思っています。
  ---- だれでも踊れるチャカレーラ >>
< 2001.3~ >
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次のような関連ページがあります。のぞいてみてください。

◆敬愛するサンティアーゴの音楽家
◆チャカレーラのアニメ / chacarera en dibujos animados (animation)
◆サンバのアニメ / zamba en dibujos animados (animation)
◆アルゼンチン ・フォルクローレのレコード三昧

◆チャカレーラ塾